「あれはどうなったっけ?」「これはいいんだよね」「それはやっておいてくれる?」日常でさりげなく使っている指示代名詞。とても便利な言葉です。
私も、会社や家でよく使います。
実は、このあいだ家でこんなことがありました。
「今夜はシーザーサラダ作るけど、卵はあれでいいんだよね?」と、主人に仕事に行く前に聞いてみたところ「それでいいよ」と返答がありました。
私は冷蔵庫にあった卵をゆで卵にするつもりでした。ところが、作ってテーブルに並べると「あれ、ゆで卵にしたの?」って。
「だって、朝聞いたらゆで卵で良いって言ったじゃん」
「え、俺は温泉卵だと思ってた」
「温泉卵なんてサラダに入れたことないじゃん」
「シーザーサラダなら温泉卵だと思ってた」
はい。見事にすれ違いました。
指示代名詞は、親しい人との間では共通認識されている物事に有効なコミュニケーションです。ですが、指示代名詞は「省略化」されたコミュニケーションです。
「いちいち言わなくてもわかっているだろう」
「きっと同じように考えているに違いない」
「この前もそうだったから」
「当たり前のこと」
という思い込みが根底にあります。しかし、相手は、私ではありません。考えていることが必ず一致しているとは限りませんし、むしろ違っていることが普通とも言えます。
ということを「知ってるよ!」という方もいらっしゃると思います。
わかってはいるんです。でも、ついつい私たちは、コミュニケーションを省略してしまいます。この省略化、企業ではポジションが上のほうになればなるほど、起こりやすくなるんだとか。指示代名詞は便利ですが、それだけで「指示」をしてしまうと、伝わっているようでまったく伝わっていなかった!なんてことも。皆さんはいかがでしょうか。
今回は、「卵の調理法」での相違でしたが、これが例えば発注数の違いだったり、納期の間違いだったとしたら…と考えると、便利な指示代名詞も怖い言葉です。
重要なやりとりは、「これ」「あれ」「それ」で済ますのではなく、相手がきちんと理解できる言葉を選んで使うことがミスコミュニケーションの予防になります。
皆さん、言葉のすれ違いにご注意を!