皆さん、こんにちは!今井です。「圧倒」シリーズの第二弾である今回は、プレゼンテーションの発信力を最大限まで高める秘訣についてです。
前回は、プレゼンテーションの具体的なテクニックを紹介しました。
プレゼンテーションとは、「プレゼンテーションが終わった後、相手の心に、自分の想いや提案が残り、その人の志と共鳴し、その人の中に留まり続けるもの」でなくてはなりません。
だからこそ、プレゼンテーションは、その場にいる人々にしっかり伝えること、影響力を与えること、が特に大事になっていきます。
さらに上をいくプレゼンテーションは「聴いた人たちが、ついつい他の人にも教えてあげたくなるもの」ではないかと、私は考えています。「面白いことを聴いた」「志事に役立つ知識を得た」「自分が気づけなかった新しい視点、思考を知った」という体験を抱くと、人は誰かに伝えたくなる習性を持っています。
徳川家康はどうやって全国制覇をしていたのか
私は、プレゼンテーションが「大いなる伝言ゲームのスタート」ではないかと思っています。そして、その伝言ゲームの主役こそ、プレゼンテーションの要になるリーダーです。
私の研修では、「リーダーとは圧倒的に内外にコミュニケーションを発信している人」と定義しています。
圧倒的に発信力のある人は、やはり大きな影響力があるのです。

ちょっと日本の歴史を想像してみましょう。全国を統治し、徳川家を繁栄させた有名な武将・徳川家康さんです。多いときは10万人を超える連合軍を率いたとも言われる、戦国時代の大スターです。
その当時はマイクやスピーカーやプロジェクター、モニターがなく、プレゼンテーションの為の道具は、何一つなかった時代です。それなのに、10万4千人を超える兵力を動かすことが出来たのは、なぜだったのでしょうか。
プレゼンテーションの肝とは、「プレゼンテーションが終わった後、相手の心に、自分の想いや提案が残り、その人の志と共鳴し、その人の中に留まり続けるもの」であるとお伝えしました。
彼は側近に対するプレゼンテーションが抜群にうまく、しっかりとこの「肝」を伝えることによって、後方に控える末端の兵士まで続いていく伝言ゲームを制したのではないかと思います。故に、他の武将よりも多くの成功をおさめることができたではないか。
家康さんが考える全体戦略と将来展望を、分かりやすい形でまとめ、効果的な言葉を使い、表情豊かに伝えることによって、側近の武将たちが大いなる感動と尊敬を持ってそれを受け止めたのではないか。
そして、側近の武将たちは伝えられた言葉が自分の中で熱を帯びているうちに、自分の配下の者たちに大いなる情熱をもって伝え、それを聴いた者たちはその下の兵士たちに…といった具合で、どんどん伝わっていったのではないか、と想像しています。
これはただの妄想ではあるのですが、あながち間違ってはいないのではと思っています。
ITはもちろん、プレゼンテーションツール、印刷技術すら存在しない時代、伝えるための術は「口コミ」が全てであったことでしょう。いかに言葉で伝えてもらうか。そのためには、最初の起点となる言葉、すなわち家康さんのプレゼンテーションが素晴らしいクオリティであることが絶対条件になります。
では、家康さんのプレゼンテーションの「肝」は何だったのでしょう?
万単位の軍勢が命がけの戦いに身を投じるだけの必然性を与える言葉とは、どんなものだったのでしょうか。
私の想像ですが、「この人についていけば、必ず自分たちの生活は豊かになる」「きっと昨日よりもいい暮らしが送れるに違いない」という期待を持たせてくれる何かがあったのではないでしょうか。
天下分け目の戦いで有名な関ヶ原の戦いを前にし、家康さんは自分の側近に対して、戦う戦術ばかりをあれこれプレゼンしたとは思えません。合戦における全体戦略を語り、勝利の結果に得られる民衆の素晴らしい暮らしについて語ったのではないでしょうか。
家康さんが統治する地域の拡大のために行ったと想像されるプレゼンテーションの「肝」は、具体的には以下のようなことが含まれていたのではないかと思います。
- 側近たちのプライドへの発信力=地位向上
- その配下の兵士たちの承認への発信力=評価のアップ
- 統治する民衆たちへの安心安全への発信力=暮らしの改善
- 我らが行う大義名分の正当性への発信力=使命と志の明確な軸
ちなみに、家康さんが戦場に現れたときの兵士たちのモチベーションアップはすごかったそうです。それまで直接彼の話を聴いたことがない兵士たちが盛り上がるのは、伝言ゲームがうまくいっている証拠ということですね。
影響力を発揮する強いリーダーには、必ず原理原則があります!
皆さんは、普段仲間に対してどんな発信力を意識していますか?