メニュー 閉じる

企業が一番大切にすべきこと~「食品横流し」のニュースを見て

こんにちは、四ヶ所です。先週、CoCo壱番屋のメンチカツなどを、廃棄業者が転売していた事実が発覚しました。

CoCo壱番屋→ダイコー→みのりフーズ→個人バイヤーや食品卸会社→スーパーというのがその流れのようです。

岐阜県の立ち入り調査で、みのりフーズの倉庫からは、焼き鳥や唐揚げ、マグロの切り身など、CoCo壱番屋以外の廃棄食品が、108品目見つかったと報道されていますが、現在、真偽の程は分かりません…。

ココイチ、ほか3品目も不正流通を確認(引用元:朝日新聞DIGITAL)

この報道を聞いたとき、パッと2つのことを思いました。

利益だけを追求する会社は「永続」しない

1つは、京セラの稲盛和夫名誉会長の 「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」 という言葉です。

熱意と能力があっても、考え方が間違っていると、 企業命題である「ゴーイングコンサーン(永続)」は達成されません。

ダイコーは、CoCo壱番屋から廃棄のためのお金をもらい、 みのりフーズからは、商品代としてのお金をもらっていたはずです。 そして、廃棄するために本来かかるはずの経費がかからなかったのではないかと推測できます。

産廃業者の決算書をインターネットで検索してみると、 廃棄するための費用が、大きなウェートをしめていることが分かります。

その費用がかからないわけですから、今回の転売が、 ダイコーの売上のどれ位を占めていたのか分かりませんが、 利益が出ていただろうなというのが正直な感想です。

ただ、お天道様が見ているんですよね。 たとえ利益が出ていたとしても、こんな商売の在り方が、長く続くはずはありません。 考え方が間違っていると永続はしない。私は、そう思っています。

企業理念を体現するのはそこに関わる人達である

もう1つは、ダイコーの決算に関与していたであろう税理士や会計士は、 決算書の内容をどう見ていたのだろうかという点です。

私は、13年間、税理士事務所の職員として働いていましたが、 物の流れと、納品書といった紙の流れを一致させることを徹底的にたたき込まれました。

先生は、「帳簿組織」という言葉で私たちにそれを伝えていましたが、 今回のケースは、その流れが一致するはずがありません。

みのりフーズに「メンチカツ」を売るためには、 当然、メンチカツを仕入れるか、あるいは、メンチカツを製造するための 材料を仕入れますので、物の流れに合わせるためには、 納品書の存在を確認しなければなりません。

それが存在しないわけですから、 どうやって売るの?という疑問がわくのではないかと思います。

今考えると、顧問先の税務調査において、 修正申告無しのゼロ納付が多くあったことは、 この辺りをしっかりと見ていたからなんだろうなと思わずにはいられません。

よく経営者の方が、「税務調査は『お土産』を 渡さなければ終わらない(多少の税金は仕方ない)」と言われますが、 私は、全くそうは思っていませんでした。

帳簿組織を創り上げることが、 企業の永続にとっていったい何の役に立つのか…。 当時の私はそう思っていましたが、「考え方」という側面から、 とても大切な内部牽制になっていたのだと、今回の報道で気付くことが出来ました。

利益(業績)ばかりを追うのではなく、「そもそも何故利益を追求するのか」に深く思いを巡らし、その理由(目的)と実際の経営を矛盾なく同居させれば、企業価値を高められる行動が自ずから出来る様になります。そして、「目的」と「実行」このふたつを結びつけるのが、企業理念であり、その企業理念を体現するのは、社員一人ひとりの「想い」です。

この「想い」こそが、企業の永続にとって、もっとも大切なことだと思うのです。