私たちはいろいろなものでできています。科学的に言えば、人間の体は細胞でできていて、その細胞の集まりの3分の2は水分であり、そのほかはタンパク質や炭水化物、脂肪などです。 そこから考えると、私たちが取り入れる酸素や水、食べ物が私たちを作ってくれています。この考え方は、人間を物質としてとらえ、体が何で作られているのか、というお話。では、人それぞれが持つ思考や考え方は、いったい何でできているのでしょうか。
思考はどこから生まれているか
私たち一人ひとりの思考や考え方の傾向は、何から生まれるのか考えてみましょう。例えば、エニアグラムという学問があります。この学問では、人間がもともともって生まれた資質があるという考え方で、9つのタイプに分けて人間をとらえます。これを探求し人生を豊かにすることがエニアグラムの目的です。このエニアグラムは単純な分析ツールではなく、人間すべてが持つ全ての資質をどうとらえるかが非常に重要であるといわれています。でも、9つのタイプそれぞれに特徴があり、人がそれぞれ違う考えを持っていることがわかります。
ほかにはどんな考え方があるでしょうか。日本人は血液型で性格を診断するのが好きだといわれています。A型、B型、AB型、O型と4つの分類で性格を見るのは、大雑把な分類ですが日本で好まれている性格診断の一つです。「あの人は~型だから。」というラベリングも、よくある話です。海外では星座のほうが人気のようですが、日本はどちらも人気ですね。一昔前には「どうぶつ占い」というものが流行ったり、誕生日や生まれた時間等でその人物を分析する学問や研究も多くされています。
私たちは言葉でできている
そしてもう一つ大切な視点、それが「言葉が私たちを作っている」ということです。私たちの思考は、言葉にあらわれます。ポジティブ・ネガティブな思考は、言葉にあらわれやすくなります。例えば「でも」という言葉。この後にはどちらかというと否定的な文章が続くことが多いでしょう。「でも」をたくさん口に出しているときは、物事の見方が内向きになっていたりマイナス思考に陥っている時期かもしれません。反対に肯定的な言葉を多く使うことが多い時は、前向きに意欲的な時期かもしれません。「あの人はいつも楽しそうだ」という人を思い出してみてください。その人が発する言葉は、多くが肯定的であるのではないでしょうか。
思考が先か、言葉が先か。これはよく議論になることです。少し考えてみましょう。前述の通り、私たちは生まれる前に何かしら決まっていることはあるかもしれません。では、生まれてから、私たちは何を受け取って成長していくのか。それは、親や周りの人間からのコミュニケーション、言葉ではないかと思います。言葉がわからない赤ちゃんのうちから、知らず知らずのうちに浴びている言葉のシャワー。それはいつの間にか自分の言葉になっていきます。
マザーテレサはこんな言葉を残しています。
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。
物事の考え方や捉え方は、生まれ持った何かと、生まれ育った環境で形成されていくものだと思います。そしてそれが行動につながっていくのです。自分はどんな言葉を好んで使うのか、意識してみると自分の思考の癖にも気づけるかもしれません。