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事実と真実があることを知ろう!

「みんながこう言っているから」「あの人はいつもそう」、こんなコミュニケーションが私たちの周りにはあふれています。

このようなコミュニケーションは、判断を鈍らせたり、不健全な感情を引き出す力があります。そして、このようなコミュニケーションに巻き込まれているという悩みをお持ちの方が最近増えているように感じます。ちょっと立ち止まって考えてみてください。そこにあるのは、事実でしょうか、それとも真実でしょうか。

見たい世界を見ている

下の写真を見てください。質問です。このグラスには、どのくらいの水が入っていますか?

いかがでしょうか。「七分目」「八分目」「半分よりは多い」「いっぱい入っている」「ちょうどいい量」など、いろいろな答えがあると思います。グラスの大きさが不明なのでわからない、という人もいるかもしれません。これが、真実です。見た人の感覚、もしくは経験で表現してること、さらに言えばその人が見ている世界、見たい世界ともいえます。

では、もしこのグラスが計量カップだったら、いかがでしょうか。例えば、水が「100ミリリットル」の目盛りまで入っているのであれば、水は100ミリリットルそこにある、とわかりますよね。誰が見ても、揺るがない事柄、これが事実です。

「みんなが言っている」のみんなはいったい何人なのでしょう。「あの人はいつもそう」のいつもとはいったい「どのくらいの時間、回数、日にち」を指しているのか?その人にとっては「みんな」でも、あなたにとっての「みんな」ではないかもしれません。実際は「1人」かもしれないのです。「いつも」は、本当は「数回」の出来事だったかもしれません。でも、コミュニケーションをしっかりとらない限り、そこは見えては来ないのです。リーダーは特に、この感覚が大切だと思います。

私も以前の職場でこんなことがありました。ある日、別のチームの人から、当時私のいたチームで動かしていたプロジェクトのことで話があるといわれ、突然「このプロジェクトはみんな失敗すると思っているよ」と言われたのです。その言葉を「事実」と思ってしまった私は、プロジェクト自体に不信感を持ってしまい、仕事に身が入らなくなってしまいました。でも実際はそう思っているのはその言葉をかけてきたその本人だけで、他の人はそんなことは言っていないということがわかり、怒りがわいたのを今でも覚えています。

その時に、リーダーが私の言動がおかしいことに気づき、面談の時間をとってくれたことは、本当に救いでした。それがなければ、そのリーダーともぶつかっていたかもしれないし、お客様にも何かの影響を与えてしまったかもしれない。その経験からも、何が「本当のこと」なのか、しっかりと見る力が仕事をしていくうえでも、人生においても大切なことだと感じています。

自分が経験したことしかわからない

では、次の写真を見てください。グラスには何が入っていますか?

背景にお酒のようなものが見えるからお酒だろう、ラベルが焼酎だから焼酎です、と思う方は多いと思います。細かく言えば、氷も入っていますね。確かに、この写真についているタイトルは「焼酎」です。でも、それは本当でしょうか?もしあなたがこの場にいて、焼酎が瓶からグラスに注がれたことを見たか、またはその場にいてこの写真を撮った人物なのであれば、「これは焼酎です」と言えますが、その場にいないのであれば、「水」である可能性を考えることもできるのです。

そして、これが焼酎だ、お酒だと言えるのは、「背景」にあるものをお酒(焼酎)だと認識できる経験があるからです。では、幼い子供がこの写真を見たら?この写真の背景が空のペットボトルだったら?サイダーの空きビンだったら?焼酎のラベルを見たことがない人がこの写真を見たら?いろいろな状況や、背景を思い浮かべることも、目の前にあるものの見方を大きく変えることでしょう。

事実は何なのか?背景には何があるのか?目の前に現れていることをどうとらえるかを、事実と真実の切り口から見つめ、「もしかしたら水かもしれない。」という感覚を持つことも意識していきましょう。そうすると、冒頭にある「みんなが・・・」や「いつも・・・」といったコミュニケーションに、必要以上に巻き込まれることも少なくなってくるのではないでしょうか。