こんにちは、野嶋です。最近、よく耳にする「働き方改革」。コミュニケーションエナジーでも例外ではありません。そして、このキーワードは労務管理をする役割の私にとって、とても興味深いものです。
ワーク・ライフ・バランスと働き方改革
今日は、ワーク・ライフ・バランスの歴史、そして、コミュニケーションエナジーでの「働き方改革」を少しご紹介したいと思います。
「働き方改革」という、当たり前のような、そうでないような言葉が、ここ4~5年で、変化しているように私は感じます。ワーク・ライフ・バランスとセットで語られることも、日本では多いようですが、ワーク・ライフ・バランスそのものの考え方は、80年代のアメリカからといわれています。
この時代、IT産業の影響でアメリカの産業構造は大きく変化しました。そして、同時に大きく変化したのは、女性の働き方です。優秀な女性が、子育てと仕事をどう両立するかを、それこそ革新的な企業が積極的に支援していたわけです。その後、この支援は、子供のいる女性に限ったことではなく、子供がいるいないや性別にかかわらず、大切なものとして広まりました。
アメリカはもともと終身雇用という考え方がないため、雇用される側は、いつ失職してもいいように、資格取得の時間やスキルアップの時間が必要です。雇用する企業としても、優秀な社員が増えれば企業の力は上がりますし、ある意味、社員に対する責任を負っていない分、社員が自己責任で生活をしていくことの支援をすることは、お互いにとって得策であったといえるのではないでしょうか。ですから、日本とは、最初の構造がだいぶ違うように思います。なぜなら日本にワーク・ライフ・バランスの言葉が入ってくるのは、バブルが崩壊した1990年代以降だからです。
日本経済とワーク・ライフ・バランス
バブル崩壊以降の日本は、景気が下がり共働きの数が増えていきます。90年代は、企業の倒産やリストラが相次ぎました。正規雇用と非正規雇用が生まれたのもこの時期です。これまでの右肩上がりの景気が失速し、そこから企業が考える「働き方」と「生活」の両立は、企業の支援というよりは企業が生き残るための政策であったと言えるかもしれません。
そして2000年代に入り、また「働き方」の定義は大きく変わってきています。ご存知の通り、昭和46年から49年のベビーブーム以降は、日本は少子化の一途をたどっています。働き手の減少と社員の満足度、つまりは優秀な人材をどう確保していくか、と言う企業の課題と、働き方改革は、切っても切れない構造にあると私は考えています。
ところが、現在多くの企業でのトップ層やマネジメント層は、1980年代、もしくはその前に社会人になった人材です。ジャパニーズビジネスマン、という単語が生まれたバブル期は、多くのビルに24時間灯りが付いていました。その時代を経験した人材が多ければ、「上司より早く帰るとは何事だ」「自分が若いころは・・・」という社風になります。その層に育てられた社員も、もしかすると「働き方改革」を良いものと思わない風潮もあるかもしれません。バブル期の働き方を否定しているわけではありませんし、そのような働き方が悪いということでもありません。ただ「時代にあっていない」だけだと思います。
もう、雇う側が雇われる側をコントロールする時代が終わりを告げようとしているのでしょう。
また、「得をしているように見える構造」は、社員同士の間に溝を作ると私は思っています。例えば時短ワークを取り入れた企業では、全社員に理解を得ることが、制度を取り入れるよりも大変だったと聞きました。たとえ時短であっても、成果を上げていれば、なにも悪いことはないのですが、目に見える成果もあれば、目に見えない成果もあります。これは制度の問題ではなく、「時間の使い方」の価値観を、会社全体で共有する必要があるのでしょう。
やはり、やり方ではなく、あり方であるのではないでしょうか。人数が多い大企業であれば、一人一人の働き方に合わせていくのは大変ですから、制度を作って当てはめていくしかないかもしれませんが、中小企業であれば、社員のライフステージに合わせたものを作っていけると思います。それが日本の中小企業の強みです。私も、バブル期を経験し、今は同年代から20代の部下もいる中で、日々チャレンジの繰り返しです。
先日のことですが、コミュニケーションエナジーでは、数名の社員に対して、コアタイムを設けたうえで、フレックスタイム制を導入しました。この背景には、社員それぞれのライフスタイルの変化と、担当する業務内容の変化の二つがあります。導入前には経営陣でしっかりと議論を重ねましたし、該当する社員には「提案」として面談しました。まずは導入してみて、どう変化していくかを見ていきたいと思います。