たった一言で、感情は良くも悪くも変化します。皆さんが発するその一言に、すごいパワーが詰まっているんです。
一言の力
私自身の体験ですが、20代前半の時に、いろいろなことが重なり、何に対してもやる気がなくなってしまいました。恋愛もうまくいかず、勉強もつまらない、人生楽しいことなんてない!(とその当時は)思っていました。他人をうらやんでいるばかりで、自分からは何も動いていない、そんな毎日でした。ある朝、母にこう言われました。
「大丈夫、ずっとは続かないから。」
その時のことを今でも鮮明に覚えています。朝ご飯の最中で、母は私のほうを向いてはいませんでした。冷蔵庫の扉をあけながら、一言つぶやいたのです。でも、この一言を聞いて、「あ、そうか、今は、ずっとじゃないんだ。」と思えました。ここから、気持ちが楽になり、動けるようになりました。やる気も戻り、気力が戻ってきたのもこの一言がきっかけです。今でも、この言葉が、私に事あるごとに呼び掛けてくれるように感じます。
言葉だけ見ると「なんだそんな簡単な言葉」と思うかもしれません。もちろん、その当時、母が私のことを心配してかけてくれた言葉ではありますが、言った本人は、覚えていないそうです。でも、一言を受け取ったほうは、これまでの闇が晴れたように感じ、肩に乗っかっていた荷物が取れたような気持ちになっています。長々と話をされたり、時間をかけて伝えられたわけではないのに、心に残る言葉、皆さんもお持ちではないでしょうか。
逆に考えると、一言で、大きなダメージを与えてしまう可能性もあります。私たち一人一人が発する一言は、自分が思っている以上に力があることを認識しなくてはいけません。同じ言葉でも、だれが言うのか、で大きく違ってきます。特に、リーダーは、一言の重みを考えて言葉を伝える必要があるでしょう。いつ誰が受け取っているかわからない「一言」、そして自分が受け取る「一言」を大切にしていきたいですね。