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木も見れば森がわかる?!~フラクタルの原理~

「木を見て森を見ず」ということわざがあります。小さなことを見すぎると、全体を見通すことができなくなる、といった意味合いがありますが、実は、小さなことと全体を、つなげてみることができれば、そのかぎりではありません。

フラクタルの原理

皆さんは「フラクタルの原理」をご存知でしょうか。この原理は、幾何学の概念ですが、「図形の一部分と、その図形の全体は似ている」というものです。下の図を見てください。

Sierpinski_zoom (1).gif

ウィキペディアより引用:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sierpinski_zoom.gif

見ていると目が回りそうですね。これは、シェルピンスキーのギャスケットと呼ばれるフラクタル図形の一部に、ズームを続けている状態です。どんなに拡大しても、同じ図形があらわれてきます。このことを「自己相似」と言いますが、樹木や雲、海岸線など、自然が作り出す複雑な形状には、この性質があるといわれています。

木を見て森を見ず、という言葉は、「木があるからこそ森ができている」という意識がなければ、いくら1本の木をずっと見ていても、森を見渡すことはできないということではないでしょうか。そして、その意識がないままに森を見渡したとしたら、1本1本の木の価値に気が付くことはできるでしょうか。

リーダーは、チーム全体を見る必要があります。でも、チーム全体を見るということは、チームを見ることと、メンバー一人一人を見ること、どちらも大切にしなくてはいけません。「木も見るし森も見る」と意識すれば、部分が全体になり、全体は部分の集合であることが、よりはっきりと見えてきます。

フラクタルの原理は、目に見える物質に対しての概念ではありますが、これは、見えないことにも当てはまる考え方です。「一日は一生の縮図である」と、教育者である森信三先生が言われているように、私たちの生き方や、人生、人と人とのかかわりにもつながっていきます。世界情勢や歴史に至っても、同じことではないでしょうか。今、何が見えていますか?どこを見ようとしていますか?

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