湯ノ口です。世界のビジネスモデルは「グローバルゴールズ:共通の目標」へと急速に舵を切っています。SDGsをはじめ、地球環境や社会問題に対しての様々な取り組みが、各国、各企業で進んでいます。これは、政府機関や大手企業が取り組むだけではなく、テクノロジーが加速する現代において、個々の日常生活を営むうえで、私たち一人一人が社会的責任を果たすべき課題になってきていると思います。
この課題に対して、私はいくつかのトレーニングカリキュラムを研究開発しています。そのなかのテーマのひとつが「女性力をビジネスに!」です。
なぜ女性力なのか、と思われる方もおられるかもしれません。ここで私がお伝えしたいのは、多様性とその多様性を生かすための視点です。
これまでの日本型組織は、男性的な組織がほとんどです。強いリーダーシップと、そこに追随するフォロワーがあってこそ成り立ってきています。その組織の中では、多くの人々は他者依存的傾向が強くなります。さらに、事なかれ主義やめんどくさい型逃避が現れやすい傾向にあると私は感じていますが、皆さんはいかがお考えでしょうか。
このままでは限界が来る、と私は考えています。
今後ますます加速するグローバル時代における多様性(ダイバーシティ)の効果は計り知れません。性別だけでなく、年齢や国籍、言語、肌の色や文化など、個々の価値観が異なることで、これまでにない視点で新たなイノベーションを起こすことも可能になります。また、同じタイプの人ばかりが集まって同質化してしまうことの弊害を、回避することができるのです。
大切なのは、多様性があるだけではだめだということです。つまりいろいろな人たちがいるということを受け入れ、認め合い、存在を承認したうえで、それぞれが自分の強みを生かし、能力を引き出しあい、お互いが強みを生かしあう、価値を引き出していく組織、チームを目指さなければなりません。これがインクルージョンです。
そこには女性の存在が必要です。新しい価値観・視点で物事を見ることによって、組織全体が大きく一歩前に進むことができるのです。女性ばかりに焦点を当てるのが効果的なのかというと、そうではないこともあるでしょう。また、女性だけがその役割を担うわけではありません。しかし、まずは、新たな変化を生み出す為に、働く女性の比率を高めることが急務であると思います。
ただ、課題もあります。世界経済フォーラム(WEF)による男女格差の度合いを示すグローバル・ジェンダー・ギャップ指数の2018年版で、日本は110位という評価でした。G7では最下位です。日本は相対的に、男女平等が進んでいないのです。
事実として、今の日本は女性が働くのには楽な環境ではなく、労働時間は特に大きな課題です。家事、育児、介護などが女性の役割の多くを占めたままでは、働くことが選択肢に上がらないでしょうし、本人だけでなく家族が疲弊してしまうことにもなりかねません。また、日本女性が「家」に重点を置くのは文化的な背景もあります。しかし、優秀な女性が職場復帰できないような状況にあるというのも、なんとももったいない話です。性別問わず、私たち一人一人の意識が変わらなければ、この課題は乗り越えられないでしょう。
だからこそ、今、女性力をビジネスにつなげるチャンスなのです。決して男性目線が悪いという話をしたいのではありません。先ほども書いたように、組織にいるすべての人材が参画する機会を持ち、それぞれが持つ経験や能力、考え方が認められ活かされる場が、これからの企業には必要だということです。女性が持っている社会的課題(労働時間も含め)の解決が、日本の力に変わっていくと私は考え、女性力を生かす企業づくりを進めています。
先日、何気ないところから「なぜ男性は腕を組んで写真を撮るのか。」という話題になりました。女性スタッフの一人は「あのポーズは威圧感があるのであまり好きではない。」といいます。ポーズに意味を持たせるとすれば、「自信を持ったポーズ」であったり「信念を感じさせるポーズ」「男性らしい」という見方があるでしょう。私も腕を組んだ写真を撮ります。しかし、女性から見ると違和感を感じることがあるかもしれません。そのあと、「どういうポーズがよいのか?」「腕を組むのが似合う人と似合わない人がいるよね?」などと、さらに話が発展して「男女関係なく、自分に合ったポーズを知ることも大切だね!」など会話が弾みました。
ちょっとした雑談でしたが、視点の違いは、当たり前のことを今一度考えなおすきっかけにもなります。
社会が今抱えている共通の困りごとに気づき、その困りごとを解決するためには、多種多様な人の視点から物事を見ること、各個人の違いを認めて互いを活かし合うことが大切なのです。そこには、リーダーの場づくりの力が問われますね。
この写真は先日熊本で講演をした際に撮影しました。私の隣にいるのは、「おてもやん」という踊りを披露してくれた、熊本の郷土料理青柳の山田美希さんです。とても素敵な彼女の踊りに、笑顔をもらい元気づけられました。ありがとうございます!
関連記事:「エッジがイノベーションを生み出す!」もぜひご覧ください。