湯ノ口です。今、世界のMBAや企業の人材教育にて、インクルージョンチーム(互いを認め活かし合い成果を創り出すチーム)と同じく、コンパッション(Compassion:思いやりをもって成すべき事を成す)と言う考え方が広がってきています。
先日の羽田空港での出来事です。空港に着いて、荷物受取所にて私のスーツケースが流れてきたと思い、すかさず手に取りました。その瞬間「ん?」と違和感を感じ、スーツケースを改めて確認しようとしたその時、「ありがとうございます!」「私のスーツケースを取っていただいて!」と近くにいた女性から声をかけられました。私は、一瞬にして恥ずかしくなったのですが、しだいに心があたたかくなりました。私は「間違って取ってしまってすみません」と謝り、お互いに笑顔で別れることができました。
まったく同じ色のスーツケースなので、私がうっかり間違ったのですが、それを責める言い方ではなく、相手に気づかせる話し方に感動しました。よくある、チョットした出来事です。しかし、とても学び深い心に触れる良い体験をしました。私も常日頃から、この様な心遣いをしていきたいと感じる出来事でした。
近年の組織論やリーダーシップ論に関して「共感力」や「思いやり」などがキーワードになっています。
そのなかでセルフ・コンパションが注目されています。これは、ストレス社会を乗り越えていく為のマインドフルネスに通じるのものですが、より深い心身の健康管理に対しても効果があります。
セルフコンパッションとは、さまざまな状況や環境のなかで、自分をありのままに受け入れ、不安や苦しみなどを緩和していく、自己との肯定的な関わり方です。 クリスティン・ネフ博士らの研究は、自己批判的である人よりも自己受容的である人の方が、健康で生産的な生活を送ることができると示唆しています。
そして、自己受容的な自己価値の感情は非常に安定しています。例えば、私たちが転んだとき、自己への慈しみによって、私たちは自ら起き上がってやり直すことができます。セルフコンパッションは、多くの心理学者が、幸福への効果的なやり方であり、自尊心に影響を与えるものでもあると考えているようです。
つまり、セルフ・コンパションが充実しているからこそ機転が利き、他者への思いやりを傾けることができるのです。まずはリーダーが自らに思いやりをもち、自分と深くかかわること。そして、他者への思いやりを持ち、成すべきことを成す!これが今求められているリーダーシップなのです。
この写真は、スウェーデンのGodEl(グリーンエネルギーの会社)を視察した時のものです。マネージャーのフレデリックさんと、とてもフレンドリーでかつあたたかいコミュニケーションを交わすことができました。まさにコンパッションがある企業であり、チームであり、リーダーだったと感じます。